ホテルベルクラシック東京 総料理長 平塚 浩一 様
記事のポイント
・シェフの募集ができないなか、スポットシェフの導入を決定
・スタッフの精神的・肉体的疲労が軽減され、職場全体の雰囲気が改善
・スキルのあるシェフを必要なときに使える魅力
※2025年8月SPOT CHEF(スポットシェフ)はCHEFLINK(シェフリンク)にサービス名称を変更しました
ホテルベルクラシックでは「ラコンテ」と「みまつ」という洋食・和食のレストランを運営しており、主に「ラコンテ」と宴会のキッチンでスポットシェフを活用しています。
ラコンテでは、モーニングは宿泊のお客様を中心にご利用いただいており、ランチは近隣のサラリーマンの方や企業様の接待や地域のご婦人会などで多く利用いただいています。ディナーは宿泊のお客様や宴会後の二次会での利用がメインです。
スポットシェフの導入前は正社員7名、派遣社員1名でモーニングからディナーまでを担っていましたが、長時間労働が課題でした。公休は取ってもらっていたものの、休憩の間もなく仕込み作業が入るなど、モーニングからディナーまで通しで勤務するスタッフもおり、朝6時から勤務して夜9時までになってしまう人もいました。
キッチンのメンバーは、このホテルがオープンした約30年前に、総料理長に就任した私が声をかけて来てもらった人たちが主で、40〜50代で構成されています。効率よく調理し、かつクオリティが高い料理を求められる中で、なかなか人員編成を変えることが難しいと感じていました。もともと料理業界には、「自分の理想の料理が出せるなら労働時間が長いのは当たり前」という雰囲気があったのも事実です。
しかし、長時間労働によりシェフたちの精神的・肉体的な疲労がたまるほか、焦燥感から20代前半の人が多いサービススタッフとのコミュニケーションもうまくいかず、レストラン全体の雰囲気が悪くなるという弊害も出ていました。
スタッフの負担を減らすことは、料理のクオリティを上げることにもつながり、お客様の満足度アップにもつながると考え、新たな人材を募集することにしました。
ところが、さまざまな媒体や調理師学校での募集、料理長仲間に紹介を依頼してもなかなか人が集まりません。新卒で採用しても定着していただけず、頭を抱えていました。コロナ禍を経て多くの店が閉店し、料理業界全体の人手が少なくなったことを改めて実感しました。
そんな中、スポットシェフの方から電話をいただき、サービスのことを知りました。 食材の売り込み電話はこれまでもありましたが、人材紹介サービスは初めてで、まさに「渡りに船」でした。
料理人に特化した人材サービスという点も重要でした。洗い場は「スキマバイト」でも対応できますが、調理はそうはいきません。
話を聞いてまず魅力的だったのは、面接や雇用関係を結ぶことなく、スポットで来ていただけるという点です。こちら側が用意するものがほとんどなく、ロッカーなどを準備するだけで良いという「手軽さ」が大きなメリットに映りました。
「経験年数が3年以上」という条件で募集をかけるとあっという間に人が集まりました。
正直なところ、「職場でうまくいかず、仕事がなくて雇用関係を結ばずに手軽に働きたい人」が来るようなイメージを抱いており、「少しがっかりするかな」とも懸念していました。が、想像をはるかに超えるスキルを持った方たちがほとんどで、正直驚きました。
来ていただいたシェフたちは、幅広い現場で活躍されている方が多く、中には10、20年の経験を持つ方もいました。若い方でも十分なスキルがあり、コミュニケーション能力も非常に高い方ばかりでした。
スポットシェフの皆さんは、さまざまな店で経験を積んでいらっしゃるので、次に何をすべきか自ら考えて動いてくれることも助かっています。「指示を待つばかりで、結局こちらの仕事が増えてしまう」こともなく、誰かがやっている仕事を見て「それ僕が引き受けます」といった形で動いてくれるので、本当にありがたいです。
スポットシェフの導入で、目に見える変化がありました。効果を実感したのが、人手の余裕ができ、一人にかかる負担が減ったことでスタッフの表情が変わったことです。
余裕ができたことで、スタッフの心理的な負担も軽減でき、サービススタッフとのコミュニケーションも円滑にできるようになったことで、レストラン全体の雰囲気が良くなりました。サービススタッフから「スポットシェフの方に来ていただいて良かったですね」という言葉をもらえたのがとても印象的でした。
他のホテルのキッチンについての情報をもらえることも役に立っています。私自身、長年同じ場所で料理長をしていると、外部の情報が入りにくくなるので、自分たちが正しいオペレーションなのか不安になることもあります。「あそこではこうやっている」「このやり方はいいと思いますよ」と話をしてもらえることがありがたいです。
スポットシェフの使いやすさも気に入っています。特に、サービス上でシェフの皆さんとチャットでやり取りできる点が非常にありがたいです。
シェフから翌月の勤務希望を連絡してもらえるほか、都合が悪くなった際のキャンセル連絡もきちんと行ってもらえるので、ドタキャンなどの心配がなく安心して利用できています。
また、シェフバッチの付与機能があることで、こちらがぜひ来てほしいと思う方と自動でマッチングできることも非常に便利だと感じています。
現在は、レストランのすべての営業日に常時募集をかけており、7人ほどのシェフの方が固定メンバーのようになってきています。
※2025年8月SPOT CHEF(スポットシェフ)はCHEFLINK(シェフリンク)にサービス名称を変更しました